胡蝶蘭の育種では、二倍体や四倍体を用いることがあります。。
初めて見る方にとっては、花の本数や株の大きさを表しているようにも思えるかもしれません。しかし、二倍体や四倍体は、植物の細胞に含まれる染色体の組の数を表す言葉です。
四倍体の胡蝶蘭には、大きく厚みのある花が咲く傾向があります。そのため、育種では花の形や大きさを改良するために、倍数性が用いられてきました。
そもそも染色体とは?
植物の細胞には、花の色や形、葉の大きさなどを決める遺伝情報が入っています。
この遺伝情報をまとめて持っているのが染色体です。
染色体を本棚に並んだ設計図に例えると、二倍体と四倍体の違いが分かりやすくなります。
二倍体は、基本となる設計図を2組持っている状態です。四倍体は、同じような設計図を4組持っている状態です。
設計図の種類がまったく別のものになるわけではなく、持っている組の数が増えています。
多くの胡蝶蘭の原種は二倍体であり、19本の染色体を2セット、合計38本の染色体をもっています。
それに対して四倍体は19本の染色体を4セット、合計76本の染色体をもっています。
現在流通している大輪系の品種には、四倍体の染色体構成を持つものが多くあります。

四倍体の胡蝶蘭に現れやすい特徴
四倍体の胡蝶蘭には、一般的に次のような特徴が現れやすいとされています。
・花が大きくなる
・花びらに厚みが出る
・花色が濃く見える
・葉が厚くなる
・葉が丸みを帯びる
・茎や花茎がしっかりする
・株全体ががっしりと見える
二倍体と四倍体の胡蝶蘭を調べた研究では、四倍体の方が花の直径や気孔の大きさが大きくなる傾向が確認されています。一方、調査した品種では、四倍体の方が花数や気孔の密度が少なくなる傾向も見られました。
また、二倍体と四倍体のファレノプシス・アフロディテを比較した研究でも、四倍体は二倍体より大きく、厚みのある花を付けることが報告されています。
しかし、四倍体だからといって、必ず二倍体より大きな花が咲くわけではありません。
花の大きさや形は、倍数性だけではなく、もととなる品種の性質や生育条件にも左右されます。

二倍体の胡蝶蘭の魅力
染色体の数が多い四倍体の方が優れていて、二倍体が劣っているわけではありません。
二倍体の胡蝶蘭には、四倍体とは異なる魅力があります。
原種やミディ胡蝶蘭には二倍体が多く、細身の花びら、軽やかな花姿、小型の株、独特の香りなどの特徴を楽しめます。
また、二倍体では四倍体より細胞が小さいため、花や葉が繊細な印象になることがあります。小さな花を多数咲かせる種類や、原種らしい姿を好む趣味家にとっては、二倍体ならではの花姿も大きな魅力です。
花の豪華さだけでなく、狭いスペースでも彩り豊かな花を咲かせる二倍体にも注目してみましょう。

まとめ
二倍体は基本となる染色体を2組、四倍体は4組持つ胡蝶蘭です。
多くの原種、ミディ胡蝶蘭は二倍体で、一般的には38本の染色体を持っています。四倍体では、その2倍となる76本が基本で、大輪の品種に多いです。
四倍体には、花が大きく、花びらや葉が厚くなる傾向があります。そのため、大輪で存在感のある園芸品種を作る育種に利用されてきました。
一方で、四倍体だから必ず大輪になるわけではありません。花の大きさや花数、株の姿には、品種や交配親、栽培環境も大きく関係します。
二倍体には原種らしい軽やかさや個性があり、四倍体には厚みと存在感があります。どちらが優れているというものではなく、それぞれに異なる魅力があるのです。











