胡蝶蘭を育てるとき、植え込み材の違いは株の成長や花付きにどのくらい影響するのでしょうか。
今回参考にした論文では、培養土を変えた時の2品種の胡蝶蘭(ZagrebとSpringfield)の成長と開花の様子を比較しています。
培養土の種類は以下の3つです。
・ニュージーランド産の水苔のみ
・水苔とハイドロボールを1:1で混ぜたもの
・ハイドロボールのみ
最もよく育ったのは水苔

気温22~30℃, 相対湿度70~80%, 施肥が2週間に一回で2年間生育させた結果、葉と根が最もよく成長したのは、品種に関係なく水苔だけで育てた胡蝶蘭でした。
水苔で育てた株は、ほかの植え込み材で育てた株に比べて、株全体が大きく、葉も大きく育ちました。根も長く、根全体の重さも大きくなりました。
論文の著者は、水苔の高い保水性と通気性によって、根の周りの水分が安定しやすかったことが、良好な成長につながったと考えられています。
花付きにも大きな違い

植え込み材の違いは、花付きにも大きく影響しました。
水苔で育てた株では85~90%が開花したのに対し、ハイドロボールだけで育てた株の開花率は25~35%でした。
また、水苔で育てた株は花茎が長く、花とつぼみの数も多くなった一方で、一つひとつの花の大きさには、植え込み材による明確な違いはありませんでした。
つまり、水苔には花そのものを大きくするというよりも、株を充実させ、花を咲かせる力や花数を増やす効果があったと考えられます。
水苔をハイドロボールに混ぜた時の効果は?
水苔とハイドロボールを半分ずつ混ぜた植え込み材も試されましたが、水苔だけで育てた場合ほど良い結果にはなりませんでした。
特にZagrebでは、混合した植え込み材とハイドロボールだけの場合で、成長に大きな違いが見られませんでした。この実験では、水苔を一部加えるだけでなく、水苔を単独で使用することが最も効果的でした。
家庭で育てる際の注意点
この研究から、水苔は胡蝶蘭の成長と開花に適した植え込み材であることが分かります。
ただし、ハイドロボールがどのような育て方でも不向きというわけではありません。この実験では、植え込み材ごとに水やりの頻度を変えず、ほぼ同じ管理方法で比較しています。
ハイドロボールは水苔より乾きやすいため、水やりの頻度を多くすると水苔と同じように株を充実し、花付きがよくなる可能性があります。
植え込み材を選ぶときは、ご家庭の環境やお世話の頻度に合わせて管理方法も変えることが大切です。水やりの頻度を抑えながら育てたい場合や、初めて胡蝶蘭を育てる場合には、適度な保水性と通気性を備えた水苔が使いやすい培養土といえるでしょう。
参考文献:Tomasz Trelka, Włodzimierz Bre’s, Agata Kozłowska.(2010)“Phalaenopsis cultivation in different media. Part I. Growth and flowering.” *Acta Scientiarum Polonorum, Hortorum Cultus*, 9(3), 85–94.











